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泌尿器・人工透析のおはなし

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腎不全と血液透析について

はじめに

平成23年末現在で、透析患者は30万人を超えました。実に国民約420人に1人が透析患者ということになります。
腎不全の原因はいろいろとありますが、主な病気としては、糖尿病と慢性糸球体腎炎です。腎臓が悪いといわれてから、食事や薬などいろいろな治療を続けてこられた方が、医師から透析が必要と告げられると、大きなショックを受け、また今後のことをとても不安に感じることと思います。
しかし、透析は、失われた腎臓の働きを代替して体調を整え、これからの生活を充実して過ごすことを支えてくれる治療です。透析を受けながら仕事を続けている人もたくさんいます。旅行や趣味などで日常生活を生き生きと過ごしておられる方もたくさんいます。
もしも透析が必要となった場合、どうか前向きな気持ちで透析を受け止めてください。


腎臓の働き

腎臓は、多くの人がまず思い浮かべる「おしっこを作る働き」のほかにいくつか体のバランスを整える大切な働きがありますので以下に挙げてみます。
  1. 体内の老廃物や毒素の排泄
  2. 体内の水分や塩分のバランスを一定に保つ
  3. 赤血球を作る働きを助けるホルモンを分泌する(貧血を防ぐ)
  4. 血圧を適切にコントロールする
  5. ビタミンDを活性化して骨を丈夫にする

上記のような腎臓の働きが次第に低下して、体のバランスが保つことができなくなった状態を「腎不全」といいます。

腎不全の症状と透析の開始時期

腎不全は徐々に進行していくことが多いので、はっきりと症状を自覚できないこともありますが、腎不全が進み、透析が必要となる頃には次のような症状が認められます。(尿毒症と言われることもあります)
  1. 体に水がたまってくる(むくみ)
  2. 体内バランス(塩分やpHなど)が保てない
  3. 吐き気や食欲不振、下痢をしている
  4. 血圧が高くなる。心不全がある
  5. 貧血となる(立ちくらみや息切れなど)
  6. 手足のしびれなどの神経症状が出てくる。精神症状がみられる
  7. 目がかすんだり、見えづらくなったりしている

透析の開始時期は、血清クレアチニン値やクレアチニンクリアランス、eGFR値などの腎臓の働きを示す検査の結果、「腎臓の働きが10%以下」になった時を一つの目安としますが、以上のような腎不全の症状と、日常生活への影響(仕事や家事ができない、日常生活に支障がある、起き上がることができない)などを考慮して透析の開始時期が判断されます。

血液透析の準備と方法

準備

画像出典元:保険モンスター

血液透析では、効率良くたくさんの血液を透析の機械に送り込む必要があります。そのため、安全に血液を体内から取り出せるように皮膚のすぐ下にたくさんの血液が流れている血管を作る必要があります。これを「バスキュラーアクセス」といいます。一般的には、前腕の動脈と静脈をつなぎ合わせる手術(内シャント)を行います。
透析の開始時期が近いと医師が判断するとこのような手術を行うことをすすめます。

方法

血液を体外に取り出して、透析器(ダイアライザ、ヘモダイアフィルター)と呼ばれるフィルターを通すことで、血液中の余分な水分や老廃物を取り除き、きれいになった血液を体に戻します。
この治療で、腎臓の働きの5つのうちの
  1. 体内の老廃物や毒素の排泄
  2. 体内の水分や塩分のバランスを一定に保つ
という2つの働きを改善することができます。
このような治療は、通常、週3回病院やクリニックに通院して行い、1回の治療には約4時間かかります。

血液透析の問題点とこれからの血液透析

血液透析は、集中的に血液の中の水分や老廃物を取り除くので、透析の前後で体のバランスに変化が生じ、体重や血圧などの変動がみられます。この変動は心臓にも負担となります。普段の食事や水分の摂取を自己管理することが血液透析での変化をなるべく少なくすることが大切で、長く安定した透析治療を続けていくためにはとても重要です。
また、短時間では十分に取り除くことのできない老廃物もあり、最近では、このような老廃物をより効率良く取り除くことのできるオンラインHDFという透析治療が普及してきています。さらには、血液透析をできるだけ本来の腎臓の働きに近づけるためには、回数を多くしてなるべく長い時間をかけて治療することが望ましいという考えから、最近は透析時間を長くするためにいろいろと工夫されています。そうすることで不要な老廃物を十分に取り除くことができ、体のバランスの変化が少なくなり、心臓への負担もなくなります。当院では、すでに終夜透析を行っており、今後は隔日透析も行えるように検討しており、今後血液透析も大きく変わっていく可能性があります。

その他の透析治療と腎移植

透析治療を受けている方の95%以上は血液透析を行っていますが、腹膜透析という治療方法もあります。現在当院で行っていませんので詳しくは触れませんが、腹膜透析と血液透析を組み合わせて患者さんの生活リズムやADLをこれまで以上に考慮できるような治療方法も考えられています。
また、日本では献腎移植を受けられる機会はまだ少なく、多くの患者が何年も待機しているというのが現状ですが、当院では、血液透析に導入した際に日本臓器移植ネットワークに登録することを勧めています。

腎不全の患者がより充実した生活を送り、社会復帰していただくためには、何よりも必要なのは、患者さんご自身が日ごろの生活を大切にして、自立して過ごされることです。透析治療はそのような患者さんを支える治療であると考え、当院では、より安全に少しでも質の高い透析治療を提供できるように努力しております。