腎臓の働きが何らかの原因で悪化して末期状態になった場合に役割を果たすのが人工透析ですが、人工透析はなぜ必要なのでしょうか。
ここでは、人工透析治療が必要である理由と、腎臓の働きが悪化してしまう原因について解説していきます。
ここでは、人工透析治療が必要である理由と、腎臓の働きが悪化してしまう原因について解説していきます。
人工透析が必要となる原因として、腎機能の低下が挙げられます。とりわけ大切なことを「肝腎かなめ」といいますが、これは腎臓が私たちにとって極めて重要な臓器であることを表している言葉です。
腎臓には、血液をろ過して老廃物や有害物質を尿として排出し、体内をクリーンな状態に保つ働きがあります。また、からだにとって必要な成分は再吸収して、体内の水分と電解質のバランスをコントロールするのも腎臓の役目です。それ以外にも、赤血球を増やすホルモンや血圧を調整するホルモンを分泌する、ビタミンDの活性化を促してカルシウムの吸収を助けるなど、人間が生きていく上でなくてはならない大事な役割を担っています。
何らかの原因により腎臓の機能が低下すると、その働きを代替する治療が必要になってきます。そのひとつが透析治療です。
腎臓には、血液をろ過して老廃物や有害物質を尿として排出し、体内をクリーンな状態に保つ働きがあります。また、からだにとって必要な成分は再吸収して、体内の水分と電解質のバランスをコントロールするのも腎臓の役目です。それ以外にも、赤血球を増やすホルモンや血圧を調整するホルモンを分泌する、ビタミンDの活性化を促してカルシウムの吸収を助けるなど、人間が生きていく上でなくてはならない大事な役割を担っています。
何らかの原因により腎臓の機能が低下すると、その働きを代替する治療が必要になってきます。そのひとつが透析治療です。
腎臓が悪くなるとどうなる?
腎臓の働きが悪くなり、血液をろ過する機能が悪化すると、からだに不要な老廃物や水分が溜まります。腎機能低下が3カ月以上持続している状態を慢性腎臓病といいますが、治療をせずに放っておくと、やがて尿毒症と呼ばれる深刻な状況に陥ります。
尿毒症の症状としてよく知られているのが、倦怠感、食欲不振、むかつき、吐き気、頭痛、からだのむくみ、高血圧、貧血などです。重症の場合、せん妄や全身けいれんといった神経・精神症状がみられ、興奮時に呼吸困難を起こすなど命に関わることもあります。重篤な状態になる前に、早めに対策をとることが大切です。
尿毒症の症状としてよく知られているのが、倦怠感、食欲不振、むかつき、吐き気、頭痛、からだのむくみ、高血圧、貧血などです。重症の場合、せん妄や全身けいれんといった神経・精神症状がみられ、興奮時に呼吸困難を起こすなど命に関わることもあります。重篤な状態になる前に、早めに対策をとることが大切です。
●慢性腎臓病の3大原因
人工透析に至る慢性腎臓病(CKD)になる原因にはさまざまなものがありますが、代表的な疾患として次の3つが挙げられます。
・糖尿病
糖尿病になり高血糖状態が続くと、腎臓にある尿をろ過する糸球体という部分が傷つけられ、腎臓の機能が低下してしまいます。このような糖尿病が原因となって起きる合併症「糖尿病性腎症」で透析を導入することになった人は、全透析患者のうち39.1%(2019年末現在)と高い割合を占めています。
糖尿病性腎症が進行すると、糸球体の中の細かな血管が壊れてろ過作用が低下し、血圧が上昇します。高血圧になることでさらに腎臓の状態を悪化させてしまいます。
・高血圧
高血圧が続くと、全身の動脈が硬くなる動脈硬化のリスクが高まります。それは腎臓も例外ではありません。腎臓は無数の細い動脈から成り立っていますが、動脈硬化によって血管の内腔がさらに狭くなると、血液が十分に行き渡らなくなり、腎硬化症となり腎機能の低下につながります。
・慢性腎炎
慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)は、糸球体を中心に慢性の炎症がみられる疾患です。腎機能が低下して、たんぱく尿や血尿などの症状が1年以上にわたって持続します。1日に1g以上の尿たんぱくが続いている場合は、10年で約30%が慢性腎不全に移行するといわれているので注意が必要です。
・糖尿病
糖尿病になり高血糖状態が続くと、腎臓にある尿をろ過する糸球体という部分が傷つけられ、腎臓の機能が低下してしまいます。このような糖尿病が原因となって起きる合併症「糖尿病性腎症」で透析を導入することになった人は、全透析患者のうち39.1%(2019年末現在)と高い割合を占めています。
糖尿病性腎症が進行すると、糸球体の中の細かな血管が壊れてろ過作用が低下し、血圧が上昇します。高血圧になることでさらに腎臓の状態を悪化させてしまいます。
・高血圧
高血圧が続くと、全身の動脈が硬くなる動脈硬化のリスクが高まります。それは腎臓も例外ではありません。腎臓は無数の細い動脈から成り立っていますが、動脈硬化によって血管の内腔がさらに狭くなると、血液が十分に行き渡らなくなり、腎硬化症となり腎機能の低下につながります。
・慢性腎炎
慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)は、糸球体を中心に慢性の炎症がみられる疾患です。腎機能が低下して、たんぱく尿や血尿などの症状が1年以上にわたって持続します。1日に1g以上の尿たんぱくが続いている場合は、10年で約30%が慢性腎不全に移行するといわれているので注意が必要です。
人工透析とは、うまく働かなくなった腎臓の代わりに、食事をしたり水分を飲んだりすることで体内に蓄積した余分な水分や塩分、老廃物を取り除き、血液を浄化する治療法です。
透析治療には大きく分けて、血液透析と腹膜透析の2種類があります。
透析治療には大きく分けて、血液透析と腹膜透析の2種類があります。
●透析の種類
・血液透析
体内の血液をいったん外に出し、ダイアライザー(血液透析器)を通過させて不要な老廃物や水分を取り除いたあと、きれいになった血液を再び体内に戻す方法です。ダイアライザーは腎臓の糸球体と同じような働きをしています。わが国では、透析治療を受けている人の9割以上が血液透析を選択しています。
血液透析は設備のある医療機関でしか行えないので、通院しなければなりません。血液透析にかかる時間は1回4時間、週3回ペースが一般的です。
また、血液透析では、一度にたくさんの血液をダイアライザーに流し込むため、腕の動脈と静脈をつなぎ合わせるシャント作製の手術が必要になります。
・腹膜透析
腹膜とは胃や肝臓などの内臓の表面を覆っている薄い膜のことで、表面には毛細血管が網の目のように広がっています。この腹膜を用いて透析を行うのが腹膜透析です。お腹の中にカテーテルを挿入し、透析液を出し入れすることによって、不要な老廃物や余分な水分を取り除きます。
腹膜透析の場合、血液透析のような大掛かりな装置を必要としないので、自宅や職場で透析が行えるのが特徴です。
腹膜透析には、1日に4回程度の透析液バックの交換を患者さん自身が行うCAPDと、夜寝ている間に装置を使って自動的に透析を行うAPDの2種類がありますので、生活スタイルに合わせた治療が行えます。
体内の血液をいったん外に出し、ダイアライザー(血液透析器)を通過させて不要な老廃物や水分を取り除いたあと、きれいになった血液を再び体内に戻す方法です。ダイアライザーは腎臓の糸球体と同じような働きをしています。わが国では、透析治療を受けている人の9割以上が血液透析を選択しています。
血液透析は設備のある医療機関でしか行えないので、通院しなければなりません。血液透析にかかる時間は1回4時間、週3回ペースが一般的です。
また、血液透析では、一度にたくさんの血液をダイアライザーに流し込むため、腕の動脈と静脈をつなぎ合わせるシャント作製の手術が必要になります。
・腹膜透析
腹膜とは胃や肝臓などの内臓の表面を覆っている薄い膜のことで、表面には毛細血管が網の目のように広がっています。この腹膜を用いて透析を行うのが腹膜透析です。お腹の中にカテーテルを挿入し、透析液を出し入れすることによって、不要な老廃物や余分な水分を取り除きます。
腹膜透析の場合、血液透析のような大掛かりな装置を必要としないので、自宅や職場で透析が行えるのが特徴です。
腹膜透析には、1日に4回程度の透析液バックの交換を患者さん自身が行うCAPDと、夜寝ている間に装置を使って自動的に透析を行うAPDの2種類がありますので、生活スタイルに合わせた治療が行えます。
●透析開始の目安
透析療法を開始するタイミングは、患者さんの年齢や原因疾患、栄養状態、腎機能の評価、血液検査の結果、日常生活の支障度、尿毒症の症状などから総合的に判断します。
患者さんの状態によって異なりますが、クレアチニンクリアランス(腎臓のろ過機能)が10mL/分未満、血液中の尿素窒素(BUN)が80〜100mg/dL以上になった場合、透析導入が検討されます。
患者さんの状態によって異なりますが、クレアチニンクリアランス(腎臓のろ過機能)が10mL/分未満、血液中の尿素窒素(BUN)が80〜100mg/dL以上になった場合、透析導入が検討されます。
病気など何らかの原因によって腎機能が悪化すると、体内に老廃物や過剰な水分が蓄積してしまい、そのまま放置していると命に関わる危険があります。そのため、腎機能が悪化する原因を知っておくことで、患者さん自身の自己管理がしやすくなり、腎機能低下による合併症の予防にも繋がります。より健康な生活を送るために、主治医やスタッフと相談し、適切な治療を行いましょう。
なお、当院にはCKD外来(腎臓内科、糖尿病・代謝内科)があります。早期受診をお勧めします。
なお、当院にはCKD外来(腎臓内科、糖尿病・代謝内科)があります。早期受診をお勧めします。